子連れ登山について私が考えること

先日、SNSで「生後3ヶ月での登山」や「標高2500mへの子連れ登山」について発信したところ、「赤ちゃんにとって高山病や月齢的なリスクは大丈夫なの?」という切実なご意見をたくさんいただきました。

大切な子供の命に関わることですから、心配されるのは当然ですし、私自身も一人の親として、何よりも「安全管理」を最優先に考えています。

「子連れ登山のリスクと対策」これこそが私が1番に発信したい内容でしたので、この記事では私が子連れ登山について考えていることを記載していきます。あくまで私が考えていることであって、常識から外れているかもしれませんし、ガイドラインでもなんでもないことはご承知おきくだい。

子連れ登山と発信の理由

そもそもなぜ子連れ登山をする人がいるのか。これは子連れ登山をしたい人にしか理解できないと思います。

大前提として登山自体が危険なスポーツであることは、登山をしている人は皆認識していると思います。その中でも子供を連れての登山は、単身で登るよりも危険は増しますし、特に赤ちゃん連れ登山では意思表示のできない子供に怪我や高山病を負わせる可能性もあります。

リスクを冒してまでする趣味ではないと批判されるのは当たり前です。それを理解した上でも子供を山に連れていきたい人しか、子連れ登山はしないと思います。

登山ガイドさんや登山上級者の方でも、子供が小さいうちは山には連れて行かない。という方はたくさんいると思います。上級者ほど、山の危険を知っているからでしょう。では、そんな方々は何歳から子供を山に連れて行くのでしょう?これも意見は分かれると思います。

結局、「子連れ登山のルールは各家庭で決めるしかない」というのが正しい認識だと思います。

それでは、他の家庭はいつからデビューしたのでしょう?最初の登山時間は何時間くらい?標高はどれくらい?ミルクやおむつは??

私が子連れ登山を始めるにあたり、妊娠中からたくさん調べましたが情報があまりにも少なすぎるため、情報収集にとても苦労しました。そこで私の体験談も発信しようと新しく登山アカウントを作りました。子連れ登山をしたい人へ届けたい内容であり、子連れ登山を推奨したいわけではありません。

そしてこれはあくまで私の経験談であり、ガイドラインでもなんでもありませんが、情報を必要としている方に届いたら幸いです。

「子連れ登山」私が気をつけていること

①:高山病の予防

もっとも心配の声が多かったのが「高山病」のリスクです。結論から言うと、乳幼児も高山病のリスクは存在します。しかし、これは「標高」そのものだけでなく、「滞在時間」と「高度順化」に大きく左右されるようです。文献では触れていないものが多かったですが、個人的には「本人の運動強度」も大きく関わっているように感じます。

様々な文献や体験談などを読み漁り、私の中での高度ルールは「1歳未満の時期は2500m以上で長期滞在(宿泊など)をしなければOK」と設定していて、これからは検討中ですが「1歳〜2歳未満は3000m程」と考えています。ちなみに、文献は各家庭で納得するものを参照してほしいので、リンク掲載は省略します。「子連れ登山」「乳児」「高山病」等で検索するとたくさん出てきます。

たくさん読んだ文献の中で、標高の絶対値に関しては記載が曖昧なものが多かったものの、標高の高い場所への車やロープウェイでの急上昇と睡眠高度に関しては明確に記載している文献が多かったので、ゆっくり登る登山で山頂滞在を短くすればそこまで標高を気にする必要がないという個人判断をしています。実際に1歳になりたての頃に3000m超の山行も問題なかったという体験談もヒットしました。

そしてもう一つ重要なのが、子供が体調不良を自分で訴えられるかという点。「寒い、暑い、眠い」等、自分の言葉で訴えられないうちに高い山に連れて行くことは危険だと認知しています。

それでも私は生後3ヶ月〜現在もまだ言葉は話せませんが、標高2500mほどの登山に連れて行っています。高山病のサインは子供を注意深く観察していれば見抜ける、と考えているからです。

幸い我が子はこれまでの山行では1度もぐずることがなく、昼寝もほぼ普段と変わらない時間帯・睡眠時間も少し長くなるくらい(揺れて心地いいのかな?)というくらいで、山頂でもご機嫌、高山病にはなっていないという認識でした。

ただし、高山病が重篤化すると赤ちゃんはぐったりするらしく、それがよく眠っていると勘違いされた事例もあるようです。確かに睡眠なのか体調不良なのかを見抜けていたかと問われると自信はないので、自分で症状を訴えられるようになるまでは子供を高山に連れて行かないという判断も必要だと思います。

②:登山開始の目安

「生後何ヶ月から山に連れて行っていいの?」という疑問に対し、マイルールは月齢ベースではなく「首が座ったらOK」という身体発達を基準にしていました。

どの文献や体験談を読んでも、明確にいつからOKという文章はなかったです。

山道はどれだけ気をつけても振動や揺れが発生します。赤ちゃんの脳や頸椎を守るためには、自力で頭を支えられる「首座り」は絶対条件です。我が子の成長は平均より少し早く、生後2か月半で首が座り始め、生後3か月半には寝返りをしていたので生後3か月からの登山を開始しました。

子連れ登山について調べる中で、生後3〜4か月頃から抱っこ紐で登山している方は数人見かけました。その方々を参考にしたと言うと責任転嫁と捉えられてしまいそうですが、参考にしつつも私は自分の意思で生後3か月〜抱っこ紐(前向き)、生後7か月〜ベビーキャリアで登山をしていました。

前向き抱っこは長時間では子供の腰に負担がかかりますし、親も足元が見えにくいため、転倒のリスクは上がります。生後6か月から使用できるベビーキャリアがあるので、せめて生後6か月まで待つべきかもしれません。

③:山での行動時間

登山時間の目安は「子供が車に乗っていられる時間」を基準にしていました。

例えば、生後3ヶ月頃になると、お出かけや帰省などで片道数時間の車移動を経験するご家庭が増えてくると思います。チャイルドシートに固定されている時間と、抱っこ紐でホールドされている時間は、子供の身体的・精神的な負担において近いものがあると考えています。

車での移動もそうですが、登山中もこまめに休憩を挟み、体を解放する時間は必ず設けます。

生後3か月 休憩込み3.5h〜5h(蓼科・四阿)
生後4か月 休憩込み6h (石鎚)
生後7か月 休憩込み6.5h (両神)
※以降の山記録はこちらに掲載しています。

生後5.6か月は多忙のため山に登っていませんでした。
車での移動時間も含めて長時間になりそうな時は前泊をしていました。

④:余裕のある登山計画

子連れ登山では「思いがけないハプニング」があることを常に想定しています(もちろん大人だけでもハプニングはありますが)。登山計画は時間にかなり余裕を持って山選びをすること、何かトラブルがあったらすぐに引き返すことは常に意識しています。

私の百名山記録はこちらのページに残していますが、私の体力・スキルでは単独登山で登り0.5、下り0.75ほどコースタイムを巻きます(登山スキルはまだまだ初心者ですが、体力先行型です)。子供を私が背負った場合の行動時間はトータル0.8程巻いています。このことから、我が家の基準では、「子連れの重量負荷」「休憩」の要素を含めて大体コースタイムくらいになると算出しています。

幸い、これまでに想定時間をオーバーするようなトラブルはなかったですが、子供が「お腹すいた!」とおやつをいつも以上にねだったり、山行中に大量のうんちが出たり、想定外のところで休憩をとる場面はありました。

登山中に起こり得る大きなハプニングとしては、「子供が怪我をする・体調が悪くなる」「大人が怪我をする・体調が悪くなる」「天気が急変する」「道迷いをする」「遭難する」「クマに遭遇する」等があるでしょうか。そう言った時にいち早く下山できるように、我が家では体力がない方(私)が通常時は子を背負い、体力がある方(夫)はアクシデント時にフレッシュな足で子を背負って下山できるような体制をとっています。

現に一度、突如雨に降られたことがありましたが、即座に夫に子供を託し、先に下山してもらいました。私は子供を背負っている夫にすらついて行けませんでした…。(※もちろん雨予報が出ている時は子連れ登山はしませんが、それでも急に雨に降られてしまいました。防寒具やレインウェアは一通り準備していましたが、子供を一刻も早く下山させたかったのでこの行動を取りました。)

子連れ同士でのグループ登山では「子供の人数=大人の人数」になりがちなので、万が一に備え救助してもらえる施設に近い山(低山や山中に診療所がある山)を選んだり、人の多い山を選ぶようにしています。子供の人数に対し、倍の人数の大人がいると何かあった時に少しはマシな選択肢ができると考えています。

余談ですが、低山=安全とは全く限らないので、子連れ登山は低山を選ぶべきとも一概には言えないと考えています。

⑤:低体温症・熱中症・日焼け・虫除け予防

高山病や月齢だけでなく、山で防がなければならないのが「低体温症・熱中症・日焼け・虫」のリスクです。体温調節や皮膚のバリア機能が未熟な赤ちゃんのために、我が家では以下の対策を徹底しています。

  • 【低体温症対策】:
    登山中、大人は運動していて暑いくらいですが、抱っこされているだけの子供は想像以上に寒いです。夏でもダウンが必要な場合があります。
    抱っこ紐を使用時は、抱っこ紐の間にタオルを忍ばせ、大人の汗が子供につかないように気をつけていました。
    ベビーキャリア使用時は、大人の体温が子供に伝わりにくいので、過度なくらい厚着をさせていました。汗をかいていないか、逆に手足は冷たくなってないか、こまめに確認しています。
  • 【熱中症対策】:
    暑い日の低山は避け、高山を選択した方が良いと考えています。もし暑い日に登る場合はこまめな水分補給を徹底。抱っこ紐やキャリアには保冷剤や小型ファンを取り付ける予定です。
  • 【日焼け・紫外線対策】:
    高所の強い紫外線から守るため、つば広帽子・サンシェード・気温が低めであれば長袖長ズボンを着用するなど「物理遮光」が最優先。日焼け止めは肌に優しいノンケミカル(紫外線吸収剤不使用)のベビー用をクリームタイプとスプレータイプを併用して塗り直しています。
  • 【虫除け対策】:
    厚生労働省の指針で「生後6ヶ月未満への使用が制限」されているディート(DEET)成分入りのスプレーは避け、天然ハーブスプレーや虫除けシールを活用。長袖・長ズボンによる物理ガードを徹底しています。

⑥:転倒のリスク

登山中の転倒のリスクですが、これは1番の重要事項ではありますが、登山をしている人はそもそも転倒リスク回避は当たり前に行なっていることだと思っているので最後の紹介にしました。

生後3か月の赤ちゃんを連れて転倒してしまった場合、赤ちゃんが大怪我をしたり最悪の事態になる可能性は高いです。
ではベビーキャリアが使えるようになる6か月、体もしっかりしてくる12か月の場合はどうでしょうか。
3か月の赤ちゃんに比べたら体はしっかりしてきていますが、それでも大怪我や最悪の事態にはなると思います。
さらには2歳、3歳の子供が自力登山を始めて転倒・滑落した場合はどうでしょうか。
子供は思いがけない行動をしがちなので、思いがけない怪我をする可能性は極めて高いと思っています。

私の考えでは転倒のリスクと月齢はあまり関係なく、登山は何歳になっても危険です。そしてこれは理解されないかもしれませんが、私は自分が子供を背負って転ぶ危険より、子供の自力登山の方が危険が高いと思っています(子供の自力登山を否定しているわけではないですし、肯定派です)。自分の山行に随分自信があると思われてしまうかもしれませんが、それくらい転倒しにくいスピードで、必ずポールを使用して、2人分の命を背負って慎重に歩いています。

「子供に怪我をさせてしまうリスク」を回避しようと思うならば、決して子連れ登山はしないです。

本当に万が一があった時に、それでも子連れ登山をしていてよかったと思えるかどうか、常に死と隣り合わせの登山では覚悟が必要だと思います。

ちなみに、我が家では万が一の転倒・遭難に備えて、子供がミルクしか飲めない時期は1泊分のミルクは準備していましたし、当たり前ですが防寒具等は多めに準備しエマージェンシーグッズも携行しています。

 おわりに

登山は、子供にとって五感を刺激する経験になるかもしれません。しかし、それが「大人のエゴ」になってしまっては決して立ち行きません。

今回、SNSでいただいたたくさんの厳しいご意見は、どれも「赤ちゃんの安全を心から心配してのもの」として、真摯に受け止めています。それぞれの家庭に体力や経験値の違いはありますが、安全に対する妥協は一切ありません。

この度はお騒がせしてしまい、本当に申し訳ございませんでした。

ただ、そんな中でも情報を必要としてくださる方からのあたたかいメッセージや質問もたくさんいただきましたので、これからも子連れ登山について発信していくつもりです。

大切なフォロワーの皆様に再び信頼していただけるよう、一つひとつの発信に責任を持って取り組んでまいります。

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